2013年3月19日火曜日

薬理について02(薬の作用点、自律神経系と神経節作用薬)

覚えるべき構造式
1.アセチルコリン
2.アドレナリン
3.ノルアドレナリン
4.ドパミン



薬の作用点

競合的結抗薬、非競合的拮抗薬、完全活性薬、部分活性薬の意味とそれぞれの用量作用曲線について説明せよ。


競合的結抗薬、非競合的拮抗薬

• 競合的拮抗薬が存在すると、作用薬の受容体への結合は阻害されるが、作用薬の濃度を上げていくと、競合的拮抗薬は受容体から追い出されて、ついに作用薬の反応の大きさは100%となる。作用薬の用量‐作用曲線は競合的拮抗薬により、高濃度側へ平行移動する。一方、非競合的拮抗薬は作用薬の濃度を上げても、作用薬の最大反応の大きさは回復しない。一般に、非競合的拮抗薬は、受容体の作用薬の結合部位において作用薬とその結合を競り合うのではなく、受容体の他の部位に作用して、受容体構造に変化をもたらし作用薬の結合を妨げたり、発生するシグナルの大きさを小さくしたりする。作用薬の用量‐作用曲線は非競合的拮抗薬により、用量を増加しても途中で頭打ちとなる。


完全活性薬、部分活性薬

•すべての受容体に作用薬(アゴニスト)が結合したときに生じる最大反応によって、作用薬は部分活性薬と完全活性薬に分けられる。完全活性薬は受容体との結合に従いシグナルを発生し、作用をもたらす。部分活性薬はすべての受容体に結合しても、100%のシグナルは発生せず、完全活性薬に比べて低い作用しかもたらさない。部分活性薬の用量‐作用曲線は用量を増加しても途中で頭打ちとなる。また、部分活性薬は完全活性薬の存在下では拮抗薬(アンタゴニスト)として作用する。




自律神経系と神経節作用薬


① 交感神経と副交感神経の解剖学的な違いについて述べよ
② 神経伝達物質と神経節興奮薬について述べよ
③ 交感神経と副交感神経の神経支配は各器官に対して均等ではない。神経節遮断薬を用いると、ある器官に対する交感神経と副交感神経の優位性が分かる理由を述べよ。また、神経節遮断薬は血管及び消化管に対してどのような作用を及ぼすと予測されるか。



① 交感神経と副交感神経の解剖学的な違い

• 副交感神経は、脳から出て迷走神経を通るものと仙髄から出るものがあり、効果器近くの神経節で神経交代をする。そのため、節後線維が短い。一方、交感神経は、胸髄と腰髄より出て、交感神経幹または腹部神経節で神経交代をする。神経節と効果器が副交感神経より離れている。また、神経節において、交感神経は一本の節前線維が多数の節後線維を支配しているのに対し、副交感神経では節前線維が支配している節後線維の数は少ない。



② 神経伝達物質・神経節興奮薬

• 交感・副交感神経節前線維の神経伝達物質はアセチルコリンであり、シナプス後膜にあるニコチン受容体と結合し、節後線維を興奮させる。副交感神経節後線維の伝達物質もアセチルコリンであるが、効果器にあるムスカリン受容体と結合し、ムスカリン様作用を現す。一方、交感神経節後線維の伝達物質はノルアドレナリンであり、効果器のαおよびβ受容体と結合して、交感神経刺激反応を現す。
• 神経節興奮薬にはタバコの葉に含まれるニコチンがある。少量で刺激作用、大量で著明な刺激作用のあと抑制作用が起きる。毒性が強く、中毒症状も起こりやすい。臨床では禁煙補助剤に用いられる。



③ 拮抗二重支配と神経節遮断薬

• ヘキサメトニウムなどの神経節遮断薬の作用は交感・副交感の両神経節ともに現れるので、各器官の自律神経支配に交感または副交感神経系のどちらが優勢であるかによって、神経節遮断に伴う生理的変化が影響されるので交感神経と副交感神経の優位性がわかる。(神経節遮断薬によって、その器官で優位に働いている方の神経の作用がより強く遮断される。)
• 血管は、交感神経が優位に支配しているため、神経節を遮断すると、交感神経節遮断の影響が強く現れ、血管拡張や血圧下降などが起こる。 一方、消化管は、副交感神経が優位に支配しているため、神経節を遮断すると、副交感神経節遮断の影響が強く現れ、消化管運動は減少し、便秘などの症状が現れる。

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