2013年3月19日火曜日

薬理について04(局所麻酔薬、末梢性筋弛緩薬)

局所麻酔薬

① 局所麻酔薬の使用目的と適用方法について述べよ
② 局所麻酔薬の作用機序と知覚神経の感受性の違いについて述べよ
③ 局所麻酔薬の頻度依存性作用(frequencyor‐use‐dependent effect)について述べよ
④ 局所麻酔薬の構造的特徴と主な薬物について述べよ


① 局所麻酔薬の使用目的と適用方法

•  局所麻酔薬は局所に適用して知覚神経の伝導を阻害し、主に痛感を遮断する目的で歯科治療・簡単な外科治療・抗不整脈などに使用される。その適用方法には、粘膜等に塗布などを行う表面麻酔・手術部位周辺に注射し薬物を直接作用させる浸潤麻酔・神経内やその周囲に注射してその神経の支配領域を麻痺させる伝達麻酔・脊髄くも膜下腔に注入しその支配下の広領域を麻痺させる脊髄麻酔などがある。また、局所麻酔薬は局所に高濃度の状態で留めておく必要があり、血流による拡散を防ぐためエピネフリンなどの血管収縮薬と併用される。

② 局所麻酔薬の作用機序と知覚神経の感受性の違い

• 局所麻酔薬は神経軸索のNaチャネルに内側から直接作用し、Na⁺の流入を防ぐ。その結果、活動電位の上昇は抑えられ、神経伝導は遮断される。また、一般に神経線維の局所麻酔薬に対する感受性は、細い線維ほど高く、無髄線維は有髄線維より高い。よって、局所麻酔薬により遅く鈍い痛み(細い無髄C線維)、速く鋭い痛み・温覚(細い有髄Aδ線維)、触覚(太くて有髄のAβ線維)、深部感覚、骨格筋の緊張・随意運動の順に麻痺していく。


③ 局所麻酔薬の頻度依存性作用(frequency‐or‐use-dependent effect)

• 局所麻酔薬の遮断強度が、神経がどれだけの頻度(frequency)で、あるいはどのくらい前もって刺激されていたか(つまりどれだけ最近に使われていたか(use))によって異なること。つまり、興奮していない静止期の神経は、頻繁に刺激されている神経よりも局所麻酔薬に対する感受性が低くなるが、あらかじめ高頻度で刺激されていると、局所麻酔薬の遮断効果は増強されるということ。
  ( Na⁺チャネルが開いた状態のときのみ、プロトン型の局所麻酔薬が結合でき、Na⁺チャネルが不活性化した状態ほど局所麻酔薬は強く、しかも持続性に結合できるためと考えられている。 )

④ 局所麻酔薬の構造的特徴と主な薬物

• 局所麻酔薬は脂溶性の芳香環グループと親水性のアミングループがエステルまたはアミド結合で繋がり、細胞膜を透過するためにある程度の脂溶性を持つ。その多くは弱塩基で、イオン化(親水性)・非イオン化(脂溶性)が混在し、一般に脂溶性が高いほうが強力である。炎症部位ではpHが下がっているので効きにくくなると考えられている。代表的な薬物としてコカの葉に含まれるコカインがあり、その他プロカイン、リドカイン、テトラカイン、ブピバカイン、ロピバカインなどがあり、効力はテトラカイン、ブピバカイン、ロピバカイン>リドカイン>プロカインの順である。


末梢性筋弛緩薬

① 末梢性筋弛緩薬の薬理作用・使用目的・臨床適用・構造的特徴について述べよ
② 末梢性筋弛緩薬の作用機序による分類と主な薬物について述べよ


① 末梢性筋弛緩薬の薬理作用・使用目的・臨床適用・構造的特徴

• 末梢性筋弛緩薬とは骨格筋の選択的弛緩をもたらす薬物のうち、神経筋接合部や筋細胞に作用するもののことである。これは、外科手術時の全身麻酔の補助・痙攣性疾患・電気ショック療法の補助などに使用される。主な副作用としては、筋肉痛や徐脈などがあり、緑内障患者には禁忌である。その構造的特徴は、アセチルコリンと類似の構造を分子内に有し、第4級アンモニウム基を有することである。

②末梢性筋弛緩薬の作用機序による分類と主な薬物

• 競合的拮抗薬にはクラレ・d‐ツボクラリン・パンクロニウム・ベクロニウムがある。これは神経筋接合部においてニコチン性アセチルコリン受容体をアセチルコリンと競合し、コリンエステラーゼ阻害薬と拮抗する。収縮の速い小さな筋から弛緩していく。脱分極性拮抗薬にはサクシニルコリン・デカメトニウムがある。これは持続的な脱分極により神経伝達を抑制する。サクシニルコリンはコリンエステラーゼで分解され、コリンエステラーゼ阻害薬によって作用が増強される。 Ca²⁺遊離阻害薬にはダントロレンがあり、筋小胞体からのCa遊離を抑制して筋を弛緩させる。悪性高熱症に有効である。伝達物質遊離阻害薬にはボツリヌス毒素があり、シナプス小胞からの開口放出を不可逆的に阻害する。顔面の痙攣の治療などに用いられるが、新たな神経終板が形成されるため効果は徐々に消失する。





























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