2013年3月19日火曜日

薬理について16(非ステロイド性抗炎症薬・解熱鎮痛薬)


① NSAIDおよびステロイド性抗炎症薬の薬理学的特徴について説明せよ。
② NSAID・解熱鎮痛薬についてその抗炎症作用を比較しながら説明せよ。


① NSAIDおよびステロイド性抗炎症薬の薬理学的特徴

NSAIDの殆どは、シクロオキシゲナーゼ(COX)の疎水性チャネルを封鎖することで、基質のアラキドン酸の結合を阻害し、プロスタグランジン(PG)やトロンボキサン(TX)産生を抑制する。PGは、末梢血流を増加させることで炎症症状の発現に関与したり、知覚神経終末にはたらいて痛覚過敏を起こしたり、発熱を招来したりする作用があるので、PG産出抑制によって消炎,鎮痛,解熱作用が発現する。一方PGは止血,胃粘膜保護,腎血流維持も司っているので、PG抑制によって出血傾向,胃潰瘍・消化器障害,腎障害などの副作用も現れる。なお、病的状態に関与するPGの生合成は誘導型のCOX-2が担うので、COX-2の選択性が高い薬は副作用が比較的小さい。しかし、COX-2選択的阻害薬は心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めることも分かっている。ステロイド性抗炎症薬は、細胞内で核内受容体と結合し、炎症性サイトカインやPG,各種インターロイキン(IL)の転写を抑制することで、結果的に抗炎症作用をもたらす。


② NSAID・解熱鎮痛薬

代表的な抗炎症薬であるアスピリンは小腸で加水分解されサリチル酸として吸収され、COXをアセチル化することにより阻害する。COX阻害とは異なる機序により抗リウマチ作用も持つ。消化器障害や腎・肝障害などの副作用があり、小児インフルエンザへの使用は禁忌である。アセトアミノフェンはCOX阻害が弱く、アスピリンに匹敵する解熱・鎮痛作用を持つが抗炎症作用はない。小児に対しても第一選択薬であり、解熱作用は中枢のCOX-3阻害によると考えられている。インドメタシンは強力な抗炎症作用(アスピリンの20~30倍)を持つ。関節リウマチや痛風発作にも有効だが、副作用も強い。主に外用として使用される。イブプロフェンはアスピリンとインドメタシンの中間の効力を持ち、胃腸障害などの副作用が比較的尐ない。類似化合物としてロキソプロフェン(ロキソニン)がある。ジクロフェナク(ボルタレン)は強力な解熱消炎鎮痛作用(抗炎症作用はインドメタシンよりも強い)を持つ。小児・高齢者には作用が強く出ることがあり、アナフィラキシー様ショックにも注意が必要である。主に坐剤として使用される。スリンダクはスルフィド体となって消炎鎮痛作用(抗炎症作用はインドメタシンの1/2以下)を示すプロドラッグである。プロドラッグであるため、胃腸障害や腎障害が尐ないため、腎機能低下時にも有効である。エトドラクはCOX-2選択的阻害作用が強く、胃腸障害や腎障害が尐ない。また、抗炎症作用の強さは、ジクロフェナク>インドメタシン>イブプロフェン>スリンダク>アスピリンの順である。

0 件のコメント:

コメントを投稿