2013年3月19日火曜日

薬理について09(抗てんかん薬・中枢性筋弛緩薬)


① てんかんとはどのような病気であるか、またその原因について述べよ。
② てんかん発作の分類について述べよ。
③ てんかん治療薬についてどの発作に有効なのかとあわせて述べよ。
④ 中枢性筋弛緩薬について述べよ。





① てんかんとはどのような病気であるか・てんかんの原因

てんかんとは脳神経系(大脳のニューロン)の過剰な発火により、反復性の発作(てんかん発作)を起こす慢性の脳疾患である。各発作により特徴的な脳波が見られ、てんかん患者の脳波は正常時もてんかんではない人と異なり、同じ神経内で形成される回路である異所性回路が見られる。てんかんの原因は多種多様である。イオンチャネルや神経伝達物質に関連する遺伝子異常が示唆され、脳の器質的変化を伴う症候性(続発性)のもの、脳の器質的変化を伴わない原発性(突発性)のもの、原因疾患が不明な潜在性のものがある。


② てんかん発作の分類

てんかん発作は大脳皮質全体に渡り明確な焦点のない全般発作と大脳の限定された部分に焦点がある部分発作がある。全般発作には強直間代発作(大発作)・欠神発作・脱力発作などが含まれ、部分発作には複雑部分発作(精神運動発作)と単純部分発作がある。大発作は突然の意識消失とともに、強直間代痙攣発作が起こり、1 分間前後発作が持続する。治療薬にはフェニトイン・フェノバルビタールなどを用いる。欠神発作は痙攣を伴わず、突然出現し突然回復する数秒から数十秒の意識消失発作で、動作や会話が急に止まり意識がなくなる。治療薬にはエトスクシミド・バルプロ酸などが用いられる。脱力発作は突然の筋緊張の低下で意識消失を伴わない発作である。
複雑部分発作は意識障害を伴う部分発作で、数十秒から数分間持続し、ほとんどが自動症を伴う。単純部分発作は意識障害がなく焦点となった脳部位の障害が現れる。部分発作の治療薬にはカルバマゼピン・ゾニサミドなどが用いられる。



③ てんかん治療薬

フェニトインは古くから抗てんかん薬として使用され、部分発作や全般強直間代発作に有効であるが、欠神・脱力発作には無効である。眼球振盪・複視などの副作用がある。カルバマゼピンは部分発作に有効で複雑部分発作の第一選択薬であるが、欠神・脱力発作には無効である。双極性うつ病にも有効である。興奮性シナプス伝達抑制、GABAの作用増強をもたらす。複視・運動失調などの副作用がある。ゾニサミドは部分発作や全般強直間代発作に有効で難治症例にも効果がある。エトスクシミドは欠神発作の第一選択薬であり、T型Caチャネルを阻害する。全般強直間代発作・脱力発作には無効である。バルプロ酸は欠神発作を含む全般発作に有効であり、躁うつ病や偏頭痛予防効果もある。Kチャネルに作用して興奮性を抑制する。悪心・肝障害などの副作用がある。フェノバルビタールは部分発作や全般強直間代発作に有効であり、催眠作用もあるが、それより低用量で抗痙攣作用がある。プリミドンはフェノバルビタールのプロドラッグである。クロバザムはベンゾジアゼピン誘導体で、他の抗てんかん薬と併用する。難治性のてんかんに比較的有効である。


④ 中枢性筋弛緩薬

中枢性筋弛緩薬は神経筋接合部や上位運動中枢へは作用せずに、脊髄における多シナプス性反射を抑制して筋弛緩をさせる。バクロフェンはGABAB作動薬であり、単・多シナプス反射を抑制する。サブスタンスP遊離を抑制して鎮痛作用がある。脳血管障害などに使用される。チザニジンはα2アドレナリン受容体作動薬であり、多シナプス反射を抑制する。侵害伝達を抑制して鎮痛作用がある。腰痛などに使用される。エペリゾンは多シナプス反射を抑制する。筋紡錘感度を低下させたり、Ca拮抗と亣感神経系抑制により降圧させたりする。


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