2014年8月23日土曜日

自律神経系と神経節作用薬

自律神経系と神経節作用薬


① 交感神経と副交感神経の解剖学的な違いについて述べよ
② 神経伝達物質と神経節興奮薬について述べよ
③ 交感神経と副交感神経の神経支配は各器官に対して均等ではない。神経節遮断薬を用いると、ある器官に対する交感神経と副交感神経の優位性が分かる理由を述べよ。また、神経節遮断薬は血管及び消化管に対してどのような作用を及ぼすと予測されるか。



① 交感神経と副交感神経の解剖学的な違い

• 副交感神経は、脳から出て迷走神経を通るものと仙髄から出るものがあり、効果器近くの神経節で神経交代をする。そのため、節後線維が短い。一方、交感神経は、胸髄と腰髄より出て、交感神経幹または腹部神経節で神経交代をする。神経節と効果器が副交感神経より離れている。また、神経節において、交感神経は一本の節前線維が多数の節後線維を支配しているのに対し、副交感神経では節前線維が支配している節後線維の数は少ない。



② 神経伝達物質・神経節興奮薬

• 交感・副交感神経節前線維の神経伝達物質はアセチルコリンであり、シナプス後膜にあるニコチン受容体と結合し、節後線維を興奮させる。副交感神経節後線維の伝達物質もアセチルコリンであるが、効果器にあるムスカリン受容体と結合し、ムスカリン様作用を現す。一方、交感神経節後線維の伝達物質はノルアドレナリンであり、効果器のαおよびβ受容体と結合して、交感神経刺激反応を現す。
• 神経節興奮薬にはタバコの葉に含まれるニコチンがある。少量で刺激作用、大量で著明な刺激作用のあと抑制作用が起きる。毒性が強く、中毒症状も起こりやすい。臨床では禁煙補助剤に用いられる。



③ 拮抗二重支配と神経節遮断薬

• ヘキサメトニウムなどの神経節遮断薬の作用は交感・副交感の両神経節ともに現れるので、各器官の自律神経支配に交感または副交感神経系のどちらが優勢であるかによって、神経節遮断に伴う生理的変化が影響されるので交感神経と副交感神経の優位性がわかる。(神経節遮断薬によって、その器官で優位に働いている方の神経の作用がより強く遮断される。)
• 血管は、交感神経が優位に支配しているため、神経節を遮断すると、交感神経節遮断の影響が強く現れ、血管拡張や血圧下降などが起こる。 一方、消化管は、副交感神経が優位に支配しているため、神経節を遮断すると、副交感神経節遮断の影響が強く現れ、消化管運動は減少し、便秘などの症状が現れる。

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