2013年9月24日火曜日

仕事ができる人のノート術

仕事ができる人のノート術

議事録の積み上げが交渉の成功に結びつくことが多い。

海外出張した後の憂鬱は出張精算と出張報告書の作成だ。
これは学会発表でも同様だろう。
出張中毎日、携帯用の記録ツールで打ち貯めておくと格段に楽になる。

報告書や手紙に顔写真を挿入することで情報量は数倍に高まる。

毎日1ページ以上、研究日誌や議事録をつける習慣を大学で教育しても良さそうだが行なわれていない。

電子辞書を持ち歩く。
漢字やスペルミスを防ぐことが目的。

追記入メモ方式or発想寄せ書き方式
(1)思いついたらすぐノートに書く。
(2)3,4行空けて書く。
(3)追加で思いついたことを余白に書き込む。
(4)翌日思いついたり、3週間後に思いついたり。

一貫して同じ特定のノートに書き続けることが重要。
「芯」が出来てくる。

思考の道具としてのノートは「発想や研究など自分の考えを残すもの」となる。
単なる記録用ノートとは区別するのが望ましい。
思考日を記録するのが必須。

ノートは思考の継続性と一貫性を支える道具。
ノートを活用し、オリジナルの計画書を作成してみる。
人生の重要事の計画書。

自分が連絡を取れる人を印刷して一覧できるようにしておく。
今後、自分が計画を立てる際に利用できる人脈がすぐ分かるようにしておく。

Idea Marathon Note を作成する。

日記
その1日は具体的に何をしたかを簡潔に記録するもの。
記憶の薄れを補い、細部を鮮明に蘇らせる助けとなる。

マラソンシステムの日記
ポイント制。
○本を1冊読了=1ポイント
○友人と一緒に外食=1ポイント
○映画を観る=1ポイント
○料理を作る=1ポイント
など、「自分の益となる活動」をするごとにポイントを貯めていく。
※忙しい毎日の中でも自分の時間を取り戻せる。
※日記は後日見直されることで活きてくる。
※文と文は間を空けて、見やすい大きさで書く。

マラソンシステムの狙い
○発想速度の加速化
○発想領域の拡大化

時間を区切って生活する
○年中行事として「年に最低1冊の本を出す」ことを課す
…本を執筆することで、自分に適した分野や、何を書きたいのかが見えてくる。
…1冊の本として出版されるまでに3年近い年月を要する。
…日常ノートを3年分振り返れば、出版にこぎつける統一した内容を抽出できる。

ガンなど致命的病気に対する告知により、本人は心の準備をする。
○初期は抗がん剤がよく効く。逆に、一番精神的に不安定になる。ノートに記録することで精神安定の助けになる。
○自分が死んだ後、子孫が自分をどのように思い出してくれるか。そのよすがとなるものを、ノートに自ら書き連ねることができる。

自分史をノートに書く。自分の半生を振り返って詳しく記述する。
(1)当時夢中になっていたこと。
(2)当時辛かったこと(振り返ると人生に厚みを出していること)
(3)当時仲の悪かった相手。
(4)当時仲が良かったが、しばらく会っていない人物。
など。日本の年号と西洋暦の両方で。

予習ノート
→苦手科目は、何度も繰り返し書くことで丸暗記してしまう。

間違い研究ノート
○間違えたプロセスを分析し記録する。
○二度と同じ過ちを繰り返さないように、何度も見直す。
○科学の反証主義と類似したコンセプト。

記憶法
○板書ノートは、内容を整理しながら別のノートに書き直す。
○授業内容はその日のうちにまとめる。
○翌朝、昨日覚えたものを再確認する。
○最も大切な言葉をひとつ見つける。
○ノートを頻繁に見直す。
○歌詞付音楽を聞きながらはNG。
○自分の記憶力は信じない。
○眠いときは15-30分だけ寝る。起きたらトイレに行き、コーヒーを飲んで再開。

Idea Marathon Noteを作ることで「人生の芯」になる事柄を見つけよう。

2013年9月17日火曜日

レバレッジ・リーディング

2011.07.10.20:30-22:50
今後の読書方法を設計する上で、1つの参考とする目的で読んだ。
読後フォローの具体的な例が載せられていたのが良かった。

以下、自分用メモ

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レバレッジ・リーディング

無駄な部分を切り捨てる。

人生での総収入を増やすためのお金の使い方を心がけよ。
本は最高の自己投資法の1つ。
ただし、読書から「リターンを得る」という姿勢でいることが必須。

読書後のフォローをきちんとしないために、内容をすぐ忘れてしまうのは、投資金を捨てているようなもの。

新聞や雑誌の情報は速いが断片的。
インターネットは信頼性に欠ける。
一貫した深い知識を得るソースとして、書物に勝るものは無い。

年間400冊読書を勧める理由は、自分の中の「常識」をこまめに更新する必要があるため。
そうしないと、世間の動きについて行けない。

良い本は他人に勧めよ。
同じ本を読む事で共通認識を持つ事が出できる。
そして、チームワークを行なう上で意思疎通が円滑になる。

カラーバス効果を利用せよ。
「この本から何を得たいのか」を意識して読めば、素早くページをめくっても重要な所で目が止まる。

読んだまま終わらせては行けない。
1.ポイントをメモする(反復する)
2.実行する

自分がその本を読む目的を、
現在の課題
人生の目標
と照らし合わせて明確化する。

レバレッジメモは究極の本。
電子データで管理。
プリントアウトして携帯し反復。
実践結果を書き込み、電子データをアップデートしていく。

条件反射として身に付くまで反復せよ。
(ドラッカー「プロフェッショナルの条件」より引用)

2013年9月16日月曜日

ウラディミール・バレンティン

ウラディミール・バレンティン
 
ウラディミール・バレンティン
 米大リーグのマリナーズ、レッズなどを経て11年にヤクルト入り。11年はセ・リーグの打率最下位で、12年は規定打席未到達で2年連続本塁打王に輝いた。ことし6月にプロ野球記録に並ぶ4打数連続本塁打をマーク。8月には史上7番目の速さで通算100本塁打に到達した。今春のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)ではオランダ代表の主砲として初の4強入りに貢献。185センチ、100キロ、右投げ右打ち。29歳。カリブ海にあるオランダ領キュラソー出身。

結核菌は発育が遅い(遅発育菌)

結核菌の発育が遅い理由
1 蛋白合成を行うリボソームの数が少ない。 リボゾームのRNA遺伝子が1セットしかない。
2 遅発育性を演出しているDNA結合蛋白を持っている。
3 栄養素の透過性が悪い。
4 RNA合成時、DNA合成とは逆向きに進む遺伝子の割合が多い。

発作性上室性頻拍

発作性上室性頻拍

発作性上室性頻拍とはどんな病気か

 突然脈拍が速くなり、しばらく続いたあとに突然止まる頻拍で、心房(しんぼう)あるいは房室(ぼうしつ)接合部と呼ばれる心室以外の組織が頻拍に関わっているものを指します。 
 突然現れて突然止まる頻拍は、一般にリエントリー(回帰興奮あるいは回帰収縮)によって起こります。発作性上室性頻拍には、WPW症候群の房室回帰性頻拍、房室結節リエントリー性頻拍、心房内リエントリー性頻拍、洞結節(どうけつせつ)リエントリー性頻拍の4種類が含まれます。

原因は何か

 頻拍は、リエントリーによって発生します。発作性上室性頻拍に関わるリエントリーの特徴は、解剖学的な刺激伝導回路があることです。 
 回路としては相対的にゆっくりと興奮が伝わる遅い伝導路と、相対的に速く興奮が伝わる速い伝導路とがあり、両端で両方の伝導路が合わさっています。この状態で一般には伝導の速い伝導路は不応期が長く、伝導の遅い伝導路は不応期が短いのです。 
 すなわち2つの伝導路があり、一方は伝導速度が速く不応期は長く、他方は伝導速度が遅いが不応期は短いという条件が成立する時にリエントリーが生じます。 
WPW症候群に生じる房室回帰性頻拍 
 興奮波が房室結節を順行し、副伝導路を心室側から心房側へ伝わる正方向性房室回帰性頻拍と、興奮波が房室結節を心室側から心房側へ逆行して副伝導路を心房側から心室側へ伝わる逆方向性房室回帰性頻拍とがあります。 
 房室回帰性頻拍の95%は正方向性で、逆方向性は5%程度です。 
房室結節リエントリー性頻拍 
 房室結節へ侵入する遅い伝導路を順行し、速い伝導路を逆行する通常型と、速い伝導路を順行して遅い伝導路を逆行する希有型(けうがた)とがあります。 
心房内リエントリー性頻拍 
 心房内の小さな回路を旋回する頻拍で、心房興奮回数は1分間に240未満とされています。心房興奮回数が1分間に240以上である場合は、心房粗動(しんぼうそどう)と診断されます。 
洞結節リエントリー性頻拍 
 洞結節とそこに隣接する心房筋の間のリエントリーによる頻拍です。 
 いずれの発作性頻拍も、体位の変換に伴って起こることが多いようです。若年者では運動中に発作が起こることや、逆に睡眠中に生じることもあるようです。

症状の現れ方

 発作性上室性頻拍の症状は、突然生じてしばらく続き、突然止まる動悸(どうき)や胸部違和感として自覚されます。頻拍が生じていない時はまったく正常なので、健康診断でも発作時以外は異常を指摘されることはありません。 
 頻拍が長時間続くと、心機能が低下してうっ血性心不全の状態になることがあります。

検査と診断

 診断には、発作時の心電図所見が非常に役立ちます。発作時の心電図が規則正しい頻拍を示し、QRS波の幅が正常であれば、発作性上室性頻拍と診断できます。QRS波とQRS波の間に、P′波が常に認められれば診断は確実になります。 
 確定診断には、心臓の電気生理学的検査が必要です。これにより頻拍の誘発と停止が可能であり、頻拍中の心房波と心室波の関係を容易に把握することができます。頻拍中の心房の興奮状態を見ることにより房室回帰性頻拍、房室結節リエントリー性頻拍、心房内リエントリー性頻拍、洞結節リエントリー性頻拍を区別できます。 
 発作性上室性頻拍と区別が必要な不整脈には、心房粗動、心房頻拍、単形性心室頻拍などがあります。頻拍中にATP製剤を投与することで粗動波が明らかになれば心房粗動の可能性が、QRS間隔が少し不規則であれば自動能亢進による心房頻拍の可能性が高くなります。また、P′波あるいは心房の興奮と、QRS波あるいは心室の興奮とが解離(かいり)していれば、一般には心室頻拍になります。

治療の方法

 発作性上室性頻拍の治療は、頻拍の停止と頻拍の予防に分けると理解しやすいでしょう。発作性上室性頻拍は、房室回帰性頻拍と房室結節リエントリー性頻拍とが90%を占め、ともに房室結節がその頻拍の回路に含まれています。ですから、房室結節の伝導を抑えると頻拍は止まりますし、予防もできる可能性があります。 
薬物療法 
 房室結節伝導を抑える薬物としては、カルシウムチャネル遮断薬、β(ベータ)遮断薬、ジギタリス、ATP製剤などがあります。カルシウムチャネル遮断薬としては、ベラパミルとジルチアゼムが一般に使われています。ベラパミルは静脈注射(静注)でも経口投与でも使われ、ジルチアゼムは主に経口投与で使われます。ジギタリスの静注薬を、短時間の点滴として投与することもあります。 
 同じような静注薬として、ATP製剤の急速静注もすすめられます。ATP製剤はゆっくり静注したのでは効果が低く、急速に静注すると房室結節伝導を抑えます。一過性の血圧低下、頭痛、吐き気、嘔吐などの副作用が必ずあるのが難点ですが、ごく短時間に薬効がなくなるので、これらの症状はすぐに回復します。この性質を利用すると、ATP製剤は反復投与が可能なので、最近では頻繁に使われるようになりました。 
 さらに、心房内リエントリー性頻拍のなかで、房室結節の近くに小さなリエントリー回路のある頻拍は、ATP製剤に感受性が高く、少量のATP製剤の急速静注で頻拍が止まります。また、洞結節リエントリー性頻拍が関わる組織も房室結節に似てゆっくりと興奮が伝わる反応を示すので、ATP製剤によって止まる可能性があります。 
 したがって、QRS幅が正常な頻拍を止めるには、ATP製剤の急速静注が最も効果的です。 
非薬物療法 
 確実に発作性上室性頻拍を止めるには、直流通電による電気ショックを選択します。これは非薬物療法のひとつです。 
 別の非薬物療法としては、高周波カテーテル・アブレーション(コラム)があります。頻拍が関わる組織を焼灼(しょうしゃく)して頻拍を根治させる治療法で、治療成績がよいので薬物療法に取って代わられようとしています。頻拍を根治させるので予防的治療法になります。 
 WPW症候群の房室回帰性頻拍であれば副伝導路を、房室結節リエントリー性頻拍では心房後壁から房室結節へ侵入する遅い伝導路をアブレーションの標的にします。この2つの頻拍に関しては、高周波カテーテル・アブレーションが予防的治療法の第一選択になっています。 
 心房内リエントリー性頻拍と洞結節リエントリー性頻拍では、頻拍中に最も早く興奮している心房部位を標的にします。

発作性上室性頻拍に気づいたらどうする

 発作性上室性頻拍があっても症状がほとんどなかったり、短時間で止まるようなら治療の必要はありません。ただし、頻拍を繰り返すようなら生活の質(QOL)を損なうので治療が必要です。症状がなくても、頻拍が長期間続くと心不全(しんふぜん)を引き起こすことがあるので注意が必要です。 
 とりあえず、急に始まる動悸を自覚したら、内科・循環器科のある病院、とくに不整脈に詳しい医師のいる病院を受診するべきです(コラム)。 
 頻拍は運動も含めた体位の変換に伴って、あるいは睡眠中に生じることが多いようです。日常生活での予防は、落ちた物を手を伸ばして拾わないようにする、発作が多い時には運動しない、といったことしかありません。 
 患者さんによって対処の方法は違いますが、もしも頻拍が起こったら、息ごらえをする、水を飲む、片方の頸部(けいぶ)の動脈を触れるところを抑えながらマッサージする、しばらく横になって休むなどを試してください。このような動作は房室結節の伝導を抑制するので、発作性頻拍を停止させる可能性が高いのです。

(執筆者:杉 薫

※初診に適した科を掲載しています。なお病院・診療所によって診療科目の区分は異なりますので、受診の際はよくご確認ください。


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2013年9月15日日曜日

アルツハイマー型認知症治療薬の比較検討

 新しい認知症治療薬の使い分けについて、古くから使われてきたドネペジルとの相違点や使い分けなどについてまとめた。

 本邦では1999年にドネペジル(アリセプト)が登場して以来12年間、アルツハイマー型認知症(AD)治療薬は1種類だけだったが、2011年になって新たに3剤が加わった。2011年3月にガランタミン(レミニール)、6月にメマンチン(メマリー)、7月にリバスチグミン皮膚貼布剤(イクセロンパッチ)が発売された。メマンチンは3月に薬価基準収載されたが、東日本大震災の影響で6月に発売が延期されたという経緯がある。AD治療薬の選択肢が4剤に増えたわけであるが、その使い分けについて作用機序、効果、副作用、利便性の観点から述べてみたい。
1)作用機序
 4剤は作用機序によって、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害薬であるドネペジル、ガランタミン、イクセロンパッチと、グルタミン酸受容体のひとつであるNMDA受容体の拮抗薬であるメマンチンに大きく2つに分類される。AChE阻害薬である3剤は、いずれもアセチルコリンの分解酵素であるアセチルコリンエステラーゼを阻害することでシナプス間隙のアセチルコリン量を増やし、AD患者で機能低下しているアセチルコリン作動性神経を賦活する。ドネペジルはAChEに高い選択性を有する長時間作用型のAChE阻害薬である。ガランタミンはAChE阻害作用に加えて、allosteric potentiating ligand(APL)作用を併せ持ち、ニコチン性アセチルコリン受容体のアロステリック部位に結合して受容体の感受性を増加させる作用も有している。イクセロンパッチはAChE阻害作用の他に、ブチリルコリンエステラーゼ(BuChE)阻害作用を併せ持つ。アセチルコリンはAChEの他にBuChEによっても分解されるが、BuChEはAD脳で増生したグリア細胞や老人斑で健常者の脳組織と比較して5~6倍の高い活性を有しており、BuChEを阻害することで、さらなるアセチルコリン量の増加が示唆される。MNDA拮抗薬であるメマンチンは、AD脳で生じているグルタミン酸によるNMDA受容体の過剰な活性化を抑制することで、神経保護作用を有するとともに、神経伝達におけるシグナル/ノイズ比を改善して認知機能障害を抑制する。
2)効果
 ドネペジルは治療開始半年~1年間は軽度ながら認知機能の改善を示す。その後は徐々に認知機能が低下してゆくが、自然経過に比べてその進行はゆっくりである。日常生活動作の低下も抑制し、施設入所までの期間を2年弱遅らせることができる。しかしながら、これは多くのAD患者の平均であって、すべてのAD患者が同様の反応を示すわけではない。顕著な改善を示し、その改善が長期間にわたって維持できている患者がいる一方で、規則的に服薬しているにもかかわらず、自然経過と変わりがないのではないかと思われるほど進行してゆく患者もいる。進行を完全にストップできる薬ではないので、実際の診療場面で個々の患者についてみると、薬の有する進行抑制効果をなかなか実感できない例も多い。新たに登場してきた3つの認知症治療薬ともドネペジルと効果に大きな相違はない。進行抑制効果を有しているが、進行を完全に止めることは期待できず、効果には個人差が大きいという限界がある点も同様である。
 適応となる重症度は各薬剤に違いがあり、ドネペジルが軽度~高度AD、ガランタミンが軽度~中等度AD、イクセロンパッチが軽度~中等度AD、メマンチンは中等度~高度ADである。ガランタミンは中等度ADについてみると、長期間の進行抑制効果がドネペジルより若干優れていたという報告があるが、ガランタミンを発売しているヤンセンファーマがスポンサーの研究なので、進行抑制効果の差の有無については今後の更なる研究が必要と思われる。
 メマンチンは認知機能の進行抑制効果のほかに、興奮・攻撃性、易刺激性、夜間の行動異常などの行動障害の治療や予防に効果があることが示されている。家族が介護をしてゆくうえで大きな負担となる、いわゆる問題行動の改善に役立つ可能性があり期待される。ドネペジル、ガランタミン、イクセロンパッチはAChE阻害薬という同種薬剤のため互いに併用できないが、1つのAChE阻害薬で効果の不十分な患者が他のAChE阻害薬への切り替えによって効果を示す場合もある。NMDA拮抗薬であるメマンチンはAChE阻害薬との併用が可能である。中等度~高度AD患者にドネペジルとメマンチンを併用するとドネペジル単独よりも認知機能の悪化を抑制できたという報告があり、AChE阻害薬にメマンチンを併用することでより強い進行抑制効果が期待できる。またドネペジルとイクセロンはADだけでなく、レビー小体型認知症(DLB)に対しても有効性が指摘されている。
3)副作用
 下痢、悪心・嘔吐、食欲不振といった消化器系の副作用と頭痛やめまいは、ドネペジル、ガランタミン、イクセロンのAChE阻害薬3剤に共通したもっとも多い副作用である。20人~ 30人に一人くらいの頻度でみられるが、少量から漸増することで発現頻度が減少する。イクセロン経口薬はすでに世界各国で発売されているが、消化器系副作用が多いという欠点があった。イクセロンパッチは経皮吸収とすることで血中濃度上昇が緩やかとなり、消化器系副作用の頻度がドネペジルやガランタミンに比べて少ない。貼布部位の接触性皮膚炎には、貼る場所を変えるなどの対策が必要である。メマンチンはめまい、便秘、頭痛といった副作用がある。ドネペジルは意欲や自発性の改善作用がある反面、多動、易刺激性や興奮、攻撃的行動などが増悪することを稀に経験する。同じAChE阻害薬でもガランタミンはこのような異常行動を悪化させないようである。
4)利便性
 ①剤形:ドネペジルは錠剤、D錠、細粒、はちみつレモン味の内服ゼリーの4剤形、ガランタミンは、錠剤、OD錠、内用液の3剤形が選択でき、錠剤だと吐き出してしまう認知症患者には便利である。メマンチンは今のところ錠剤しかない。イクセロンパッチは背中、上腕、胸部などの皮膚にパッチを貼付する。パッチ剤は服薬拒否や嚥下障害などで服薬困難な患者に便利なだけでなく、パッチに日付を入れることで、飲み忘れや重複投与を予防でき、介護者による服薬管理の負担軽減が期待される。
 ②投与回数:ドネペジル、メマンチン、イクセロンパッチは1日1回投与であるが、ガランタミンは半減期が短いため1日2回の投与が必要である。
 ③維持量までの期間:ドネペジルは1日3㎎から開始して1~2週間後に軽度~中等度ADの維持量である1日5㎎に増量するため、2回の受診で維持量に持ってゆくことができる。高度ADの場合はさらに4週間以上経過後に1日10㎎に増量する。ガランタミンは1日8㎎から開始して4週間後に維持量である一日16㎎に増量するので、ドネペジルと同様、2回の受診で維持量に持ってゆくことができる。効果が不十分な場合には、さらに4週間後に1日24㎎まで増量する。メマンチンは1日5㎎から開始し、1週間おきに5㎎ずつ1日20㎎の維持量まで増量する。増量のたびに受診してもらうとすると、維持量まで4回の受診が必要だが、4週目から維持量に持ってゆくことができる。イクセロンパッチは1日4.5㎎から開始し、4週間おきに4.5㎎ずつ維持量の1日18㎎まで増量する。やはり維持量まで4回の受診が必要で、初診からようやく13週目で維持量に達する。
 ④薬物相互作用:高齢者では多種類の薬を服用していることが多いため、薬物相互作用には十分注意を払う必要がある。ドネペジルとガランタミンは主としてCYP3A4、CYP2D6により代謝されるため、これらのCYPを阻害するワーファリン、Ca拮抗剤、高脂血症治療薬、PPI、β遮断薬、パロキセチンなどの薬剤を使用している場合には相互作用に注意が必要である。イクセロンとメマンチンは腎排泄性のためCYPを阻害する薬剤と併用してもほとんど影響を受けない。
 ⑤薬価:維持量で比較すると、アリセプトD錠5㎎が427.5円、レミニール OD 錠8㎎×2回で427.6円、メマリー 20㎎錠427.5円、イクセロンパッチ18㎎427.5円/枚で、4剤とも同じ価格に設定されている。しかし高度ADになってアリセプトD錠10㎎(764.0円)にメマリー 20㎎を併用しようとする場合には、1日薬価は1,191.5円かかる計算となり、患者負担が1割あるいは3割としても決して安価な薬ではない。

2013年9月10日火曜日

もしドラ

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーのマネジメントを読んだら

目次

プロローグ

第一章
みなみは『マネジメント』と出会った
28ページ

○マネジャーに必要なのは「真摯さ」

第二章
みなみは野球部のマネジメントに取組んだ
34ページ

○野球部の組織の目的は何か。顧客は何か。
○企業の存在意義を問う。何・誰のための集団なのか。
○野球部の顧客は「観客、保護者、教師、学校」。
○「野球部のプレーや毎日の練習を見て、感動を得たい」と思っている人達の為の組織。

第三章
みなみはマーケティングに取組んだ
30ページ

○企業の構成員が組織に求めているものをインタビューにより調査。
○「野球部員」は「野球部」に何を求めているのか。
○各部員が求めているものは、異なっている。
○それぞれのニーズを満たすことが、野球部をマネージする人間が目指す目標。

第四章
みなみは専門家の通訳になろうとした
28ページ

○専門家の研究結果、専門知識などの情報を、分かりやすく翻訳し使いやすい形にする。
○専門家のアウトプットを、組織の他のメンバーが使える形にし、成果に結びつける。
○知識の使い所を明確化する。使えるようにする。

第五章
みなみは人の強みを生かそうとした
30ページ

第六章
みなみはイノベーションに取組んだ
40ページ

第七章
みなみは人事の問題に取り組んだ
30ページ

第八章
みなみは真摯さとは何かと考えた
38ページ

エプローグ

あとがき

2013年9月3日火曜日

20代で人生の年収は9割決まる

「なぜ、この業界を志望するのか」
(他業界との比較。その業界ならではの魅力、存在意義、利点は。)

「なぜ、この会社を志望するのか」
(同業他社との比較。その会社ならではの魅力、存在意義、利点は。)

「なぜ、あなたを採用した方がいいのか」
(自分の人生や興味と、業界・仕事との関連性。自分が業界・仕事・会社の発展に貢献できるのはどこか。採用されたら何をしたいのか。)

2013年9月2日月曜日

Biguanides suppress hepatic glucagon signalling by decreasing production of cyclic AMP.

Biguanides suppress hepatic glucagon signalling by decreasing production of cyclic AMP.

Miller RA, Chu Q, Xie J, Foretz M, Viollet B, Birnbaum MJ.

Nature. 2013 Feb 14;494(7436):256-60.

【まとめ】
ビグアナイド系薬剤は50年前から肝の糖産生を抑制する有効な治療薬と考えられてきたが、その作用機序は詳しくは不明である。MetforminがAMPK活性化を介して肝糖産生を抑制するという作用機序は10年前より提唱されてきたが、近年メトフォルミンがLKB1/AMPK経路とは独立して肝糖産生を抑制することが示されて、前者の機序は疑問視もされている。本研究では、「メトフォルミンが、肝においてグルカゴン作用を阻害することにより空腹時血糖を低下させる」という新しいメカニズムを報告している。マウス肝細胞にmetforminを添加すると、ミトコンドリア呼吸鎖の抑制によってAMPが蓄積する。(それがAMPKを活性化すると考えられているのだが)ここではそれがadenylate cyclaseを抑制し、その結果cAMP産生が減少、PKA活性が低下する。PKAの標的蛋白には肝糖産生酵素があり、不活性化によって、グルカゴン依存性の肝糖放出が抑制されるという機序が示された。抗糖尿病薬metforminは、肝におけるグルカゴンアンタゴニストとしての新たな作用機序をもつことが明らかになった。

【論文内容】
10年ほど前から、metforminの作用はAMPKを介すると考えられてきたが、最近AMPKまたはその上流のLKB1を欠損した肝臓や肝細胞でもmetforminの効果が見られることが報告され、当初の考えは疑問視もされている。そこで、メトフォルミンが肝でのグルカゴンシグナル伝達を阻害する可能性を考えて検討を進めた。

グルカゴンが肝細胞表面の受容体に結合すると、adenylate cyclaseが活性化、cAMPが増加、PKAが活性化され、肝の糖産生を増加させる蛋白をリン酸化(活性化)する。ビグアナイドであるphenforminまたはmetforminをマウス培養肝細胞に2時間または24時間添加すると、用量依存的にグルカゴンによるcAMP増加が低下した。次にアデノウイルスを用いてAKRA3 FRET reporterを発現させた肝細胞(PKA活性化を確認する細胞)に、まずグルカゴンを添加したところ、2分以内に最大のFRET増加(PKA活性化)を認めたが、phenforminはこの増加を遅延させた。さらに、phenforminは、グルカゴン刺激によるPKA基質蛋白(PFKFB1、IP3R)のリン酸化を阻害した。このように、グルカゴンはcAMP増加によりPKAを活性化しその基質蛋白のリン酸化を増加させ、phenforminはこの過程を阻害したが、グルカゴンの代わりに膜透過性cAMPアナログ(SP-8Br-cAMPS-AM)を添加した場合はphenforminでPKA活性化は阻害されなかった。したがって、phenforminはPKA活性化よりも上流でグルカゴンシグナル伝達経路を遮断していると考えられた。同じく、肝細胞に治療域濃度のmetforminを添加した場合、グルカゴンによる糖産生の増加は抑制したが、SP-8Br-cAMPS-AMによる増加は抑制できず、metforminの糖産生抑制作用はcAMP減少を介していると考えられた。

次に、AMPKのα1とα2のfloxedマウスにCreを発現させるアデノウイルスを注入し、AMPKのcatalytic(α)サブユニットを欠損させたマウスを作製した。このマウスの(AMPK欠損)肝細胞にphenforminを添加しても、グルカゴンによるcAMP増加の抑制はコントロールと同じように起こった。すなわち、ビグアナイドによるcAMP増加抑制効果はAMPK非依存性であることが分かる。

では、ビグアナイドがグルカゴンによるcAMP増加を抑制するのは、ビグアナイドがcAMP phosphodiesterase (PDE)を活性化するためであろうか?グルカゴンを添加した肝細胞にIBMX(PDEの非特異的阻害剤)またはRo-20-1724(PDE4の特異的阻害剤)を添加したところ、cAMPは増加した。この効果はcilostamide (PDE3の特異的阻害剤)では見られなかったので、これらの細胞でのcAMPの分解にはPDE4が重要であることが分かる。しかし、phenformin添加によるcAMP増加抑制に、IBMXやRo-20-1724は影響しなかった一方、forskolin(adenylate cyclaseを活性化させてcAMP増加を起こす)によるcAMP増加は、phenforminで阻害された。すなわち、phenforminは、cAMP分解促進(PDE4活性化)ではなく、cAMP増加抑制(adenylate cyclase活性化抑制)によって、cAMP量を低下させていると考えられた。

AMPはadenylate cyclaseを抑制することが古くから報告されてきたが、ビグアナイドによるAMP増加がadenylate cyclase抑制をもたらしているのだろうか?Metformin投与マウスの肝におけるAMP濃度がadenylate cyclaseを阻害するのに十分なレベルかを検討するため、肝のAMP値を測定した。その結果、肝のAMP濃度は2.3 mM、metformin投与後は2.9 mMと高かった。培養肝細胞でのAMPの濃度は215 μMで、phenformin添加によって1 mM以上に増加した。

次にin vivoで、metforminのグルカゴン注入に対する効果を検討した。Metforminを事前に投与しておいたマウスでは、グルカゴン急速注入による血糖上昇は抑制された。この時、metformin投与により肝のエネルギー蓄積が減少して(=AMPが増加して)AMPK活性が増加したが、重要なことは、metformin前投与でグルカゴンによる肝臓内cAMPの上昇、PKA活性化、PKA基質のリン酸化が抑制されたことである。空腹時マウス(内因性のグルカゴン上昇)にmetforminを投与しても、肝のcAMP濃度が減少した。高脂肪食負荷マウスにmetforminを投与しても、肝のAMP増加、それに伴うPKA標的蛋白であるPFKFB1とIP3Rのリン酸化が低下し、空腹時血糖が低下した。このような急性投与によりAMPKリン酸化(活性化)が認められたものの、Aktリン酸化の変化(急性のインスリン抵抗性改善)までは見られなかった(metformin投与→AMP増加→AMPK活性化によるインスリン抵抗性改善は、少なくとも急性には起こっていないことを示唆する)。

【結論】
本研究では、ビグアナイド系薬剤が肝細胞においてcAMPを減少させる効果があることを確認した。治療域濃度のmetforminは、肝細胞においてミトコンドリア呼吸鎖のcomplex Iを阻害してATPの減少とAMPの増加をもたらすことにより、グルカゴンによるadenylate cyclase活性化を阻害する(AMPは内因性リガンドとして、adenylate cyclaseの活性化を直接抑制する作用があることは古くから知られている)。Adenylate cyclase活性低下により、細胞内cAMPが減少し、PKA活性化低下が起き、糖産生酵素の活性化を減少させ、肝糖産生を抑制する。このような経路(下の参考図)が新たなmetforminの作用機序と考えられる。



(参考図)Metforminまたはphenforminは、OCT1(organic cation transporter)によって細胞内に取り込まれ、ミトコンドリアに集積して呼吸鎖のcomplex Iを抑制し、細胞内のATPを減少させADP/AMPを増加させる。増加したAMPは、AMPKを活性化させるのみならず、adenylate cyclaseを直接阻害して、グルカゴンによるcAMP増加を抑制、その結果PKA活性化が抑制される。それにより、グルカゴンによる糖新生酵素が糖新生抑制に働き、肝糖産生が抑制されることになる。