2014年9月13日土曜日

非アドレナリン非コリン作動性神経系

非アドレナリン非コリン作動性神経系


① 神経伝達物質としてのATP(アデノシン三リン酸)の作用について述べよ
② 一酸化窒素(NO)について述べよ
③ 神経ペプチドについて述べよ




① 神経伝達物質としてのATPの作用

• ATPは、自律神経や中枢神経終末のシナプス小胞に他の神経伝達物質と高濃度に共存し、神経インパルスにより、シナプス小胞から開口分泌によって放出される。ATPはシナプス後膜のATP受容体P2Xに働き、迅速なシナプス伝達を仲介し、またATP受容体P2Yに働きシナプス伝達を多様に変調させる。ATPは血管拡張作用により各種組織の血流を増加させたり、神経因性疼痛を引き起こしたりする。また、ATPが加水分解されて生成したアデノシンも情報伝達物質として作用し、神経伝達物質の遊離阻害や冠血管弛緩作用を持つ。




② 一酸化窒素(NO)

• NOは血管内皮弛緩因子(EDRF)として同定された最小の情報伝達物質である。ラジカル構造を持ち、半減期は短い。常温で気体であり、脂溶性で細胞膜を自由に通過するため、細胞内に貯蔵できず、産生されると直ちに拡散し、細胞膜をこえて周辺の細胞に速やかに浸透する。NOはNO合成酵素(NOS)によりL‐アルギニンと酸素からL‐シトルリンとともに生成される。細胞質に常在するnNOS(神経型)とeNOS(血管内皮型)は細胞内Ca²⁺濃度によって調節されシナプス可塑性の維持や血小板凝集抑制などの機能を持つ。iNOS(誘導型)はマクロファージや好中球による殺菌作用に関与している。NOは可溶性グアニル酸シクラーゼの内因性活性化因子で、cGMP産生を増加させ、血管拡張などの多様な反応を引き起こす。




③ 神経ペプチド

• 神経ペプチドは神経伝達物質として働き、ニューロン内に低分子伝達物質と共存している。細胞体で合成された神経ペプチド前駆体はゴルジ体でプロセシングを受けながら、神経終末に運ばれ低分子伝達物質とは異なる小胞に貯蔵され、遊離させるためには高頻度刺激が必要となる。サブスタンスPはカプサイシンにより遊離され痛覚に関与し、血管透過性の亢進、平滑筋収縮などの作用を持つ。ニューロペプチドYは中枢では摂食促進、末梢では血管収縮などの作用を持つ。カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)はG蛋白質共役型受容体を持ち、知覚・統合運動機能に重要な働きがあり、血管拡張作用などを持つ。他には鎮痛や腸管収縮抑制作用を持つエンドルフィン・ダイノルフィン・エンケファリンもある。

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