2014年10月4日土曜日

利尿薬

利尿薬


① 利尿薬の薬理作用と腎臓の機能・構造について述べよ
② 尿の生成過程について述べよ
③ ループ利尿薬とチアジド(サイアザイド)系利尿薬の作用部位・薬効の強さ・使い方の差異を述べよ
④ その他の利尿薬の作用部位・使い方について述べよ




① 利尿薬の薬理作用と腎臓の構造
• 利尿薬は尿量とともにNa⁺、Cl⁻の排泄を増加させる医薬品であり、浮腫や高血圧などの治療に用いられる。
• 腎臓は体内の水・電解質の恒常性を維持する重要な臓器で脊椎の両側に存在する。腎臓にはその構成単位であるネフロンが約1万個ある。ネフロンは尿細管と腎小体からなる。尿細管は近位尿細管・ヘンレループ・遠位尿細管からなり、腎小体は糸球体・ボーマン嚢から成り立っている。また、ネフロンは均一ではなく、腎内の存在位置によりその構造や機能が大きく異なっている。


② 尿の生成過程
• まず、糸球体で血液中の血球・蛋白・脂質以外の血液成分が糸球体濾過を受け150L/日の原尿が作られる。次に、尿細管で再吸収される。近位尿細管では、受動的再吸収によりアミノ酸・炭酸水素イオン・水を再吸収し、Na KポンプによりNa⁺・K⁺を再吸収し、炭酸脱水素酵素によりNa⁺を再吸収し血液や尿のpHを調節している。ヘンレループでは、周囲血管と対向流系をつくり、Na⁺‐K⁺‐2Cl⁻共輸送によりNa⁺とCl⁻を再吸収する。水は再吸収されない。遠位尿細管では、Na⁺ポンプ、炭酸脱水素酵素、アルドステロンによるNa⁺‐K⁺交換作用によりNa⁺を再吸収し、K⁺とH⁺の排泄を増加する。集合管では、抗利尿ホルモン(ADH、バゾプレシン)により水を再吸収する。


③ ループ利尿薬とチアジド(サイアザイド)系利尿薬の作用部位・薬効の強さ・使い方の差異
• ループ利尿薬はヘンレ上行脚のNa⁺‐K⁺‐2Cl⁻共輸送を阻害し、Na⁺とCl⁻の再吸収を抑制する。また、プロスタグランジン類を介し腎血流量を増加させる。強力な利尿作用を持つ。例として、フロセミド・ブメタニド・エタクリン酸などがあり、急性肺水腫やうっ血性心不全などに用いられる。低カリウム血症や聴覚障害などが主な副作用である。
• チアジド系利尿薬は遠位尿細管のNa⁺‐Cl⁻共輸送を阻害する。利尿作用はループ利尿薬より弱いが降圧作用が強いため高血圧症に対して用いられる。例として、ヒドロクロロチアジドやトリクロロチアジドなどがあり、抗カリウム血症や高脂血症などが主な副作用である。


④ その他の利尿薬の作用部位・使い方
• 炭酸脱水素酵素阻害薬は近位尿細管のH⁺‐Na⁺交換系を介するNa⁺の再吸収を抑制する。アセタゾラミドは尿をアルカリ性にし、浮腫や緑内障などに用いられる。鉱質コルチコイド受容体拮抗薬はカリウム保持性利尿薬で、遠位尿細管や集合管でアルドステロンの作用を抑制する。スピロノラクトンは高アルドステロン血症に効果があり、ループ利尿薬やチアジド系利尿薬と併用される。腎上皮Na⁺チャネル阻害薬もカリウム保持性利尿薬で、遠位尿細管や集合管のNa⁺チャネルを抑制する。トリアムテレンがあり、他の利尿薬と併用して低カリウム血症を予防する。浸透圧利尿薬は水の再吸収を抑制し浸透圧を上昇させる。マンニトール・イソソルビド・グリセリンがあり、腎不全予防や脳圧・眼圧亢進の治療に用いられる。

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