2014年10月18日土曜日

抗不整脈薬

抗不整脈薬

① 不整脈とはどのような病気であるか、またその発生機序について述べよ
② torsades de pointesを説明せよ
③ 不整脈の原因の一つであるリエントリーの発生機序とそのサイクルを断ち切るためにどのような機序の薬が使われるか述べよ
④ 抗不整脈薬のVaughan Williamsによる分類と主な薬物について述べよ


① 不整脈とは・不整脈の発生機序


• 不整脈とは正常洞調律以外の心臓電気現象の異常の総称である。調律の異常や拍数の異常が起こり、頻脈には投薬治療を、徐脈には人工ペースメーカー治療が行われる。不整脈のなかでも心室細動は致死的である。不整脈は異所性刺激・自動能の異常などの刺激生成の異常や、洞房接合部・心筋細胞間などにおける伝導遅延やブロックなどの刺激伝導の異常によって引き起こされる。刺激生成異常にはtorsades de pointes(倒錯型心室頻拍)、刺激伝導異常にはリエントリーなどの重篤な症状になりうる異常もある。



② torsades de pointes

• torsades de pointesとは脱分極後の再分極の遅れにより、再分極過程から再び脱分極(早期脱分極)することで起こる倒錯型心室頻拍のことである。QT延長が原因となり、心室細動に移行して突然死へといたる可能性がある。Kチャネル拮抗薬などの重篤な副作用である。
*QT間隔とはAPD(活動電位持続時間)の平均的な長さのこと



③ リエントリーの発生機序とそのサイクルを断ち切るためにどのような機序の薬が使われるか

• 心筋の興奮は、洞房結節から心室筋細胞へと秩序だって伝導し消失するが、病的組織(伝導速度が異なる部位)があると、興奮の一部がもとに来た方向に引き返してしまう。すると、興奮が旋回する回路が生じ、本来は一度の興奮で何度も興奮が起こってしまい、結果、(頻脈性)不整脈になってしまう。このような状態をリエントリーと呼ぶ。心筋の不応期が短く、また伝導速度が遅いほどリエントリーのサイクルは安定する。このサイクルを断ち切るためには、不応期を延長させる薬(Na⁺チャネル拮抗薬・K⁺チャネル拮抗薬など)が有効である。薬としては、プロカインアミド・ジソピラミド・アミオダロンなどが挙げられる。



④ Vaughan Williamsによる分類と主な薬物

• クラスⅠはNaチャネル拮抗薬で、aタイプはAPDを延長し、伝導も抑制する。期外収縮などに用いられ、キニジン・プロカインアミド・ジソラピドがある。bタイプはAPDを短縮し、心室性不整脈に用いられる。リドカイン・メキシレチン・フェニトインがある。cタイプはAPDは不変で伝導抑制が強い。フレカイニドやピルジカイニドがある。クラスⅡはアドレナリンβ1受容体遮断薬で、交感神経亢進による不整脈に有効である。アセブトロールやアテノロールがある。クラスⅢはKチャネル拮抗薬でAPDと不応期を延長する。アミオダロンがあり、重篤な副作用があるため他の薬が無効な例に限り用いられる。クラスⅣはCaチャネル拮抗薬で、心筋の興奮を抑制する。ベラパミルがあるが、全てのCa拮抗薬が有効なわけではない。

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