2014年10月11日土曜日

高血圧症治療薬

高血圧症治療薬

① 高血圧症とはどのような病気であるか、また治療薬にはどのような種類があるか述べよ
② レニン‐アンジオテンシン系とそれに作用する薬について述べよ
③ 血管拡張薬について述べよ
④ 交感神経遮断薬について述べよ


高血圧症とは・高血圧症治療薬の分類
• 高血圧症は正常範囲以上の血圧が持続する状態であり、収縮期血圧140mmHg以上、拡張期血圧90mmHg以上が高血圧の目安になる。大部分は原因不明の本態性高血圧症であり、残りはストレスなどが原因である。末梢血管抵抗の増大が原因と考えられ、高血圧の長期持続により腎不全・心不全・脳梗塞などの危険性が増える。治療には薬物療法だけでなく減塩・肥満防止・運動などの生活習慣の改善が必要である。また、高血圧症治療薬には血管拡張薬・交感神経遮断薬・ACE阻害薬・アンジオテンシンⅡ受容体遮断薬・利尿薬がある。


② レニン‐アンジオテンシン系とそれに作用する薬
• 腎臓の傍糸球体細胞から分泌されたレニンにより、アンジオテンシノーゲンからアンジオテンシンⅠが生成され、主に肺血管内皮細胞に存在するACEによってアンジオテンシンⅡへ転換される。アンジオテンシンⅡが受容体に結合すると、副腎皮質でのアルドステロンの合成・分泌が促進され、末梢血管が収縮し、腎集合管での再吸収を促進する。これによって体液量が増加する事により、昇圧作用をもたらし、さらに心肥大、血管内皮肥厚ももたらす。ACE阻害薬はアンジオテンシンⅡを抑制する。例として、カプトプリル・エナラプリル・テモカプリルがあり、空咳が主な副作用である。アンジオテンシン受容体遮断薬はアンジオテンシンⅡと拮抗し血管を拡張する。例として、ロサルタン・カンデサルタンがあり、空咳が少ない。


③ 血管拡張薬
• Ca拮抗薬は血管平滑筋のL型Caチャネルを阻害して、血管平滑筋を弛緩させ末梢抵抗を下げることにより血圧を下げる。ニフェジピン・ニカルジピンなどのジヒドロピリジン系・ジルチアゼム・ベラパミルがあり、ジルチアゼムとベラパミルは心機能を抑制する。頭痛やめまいなどの副作用がある。他の血管拡張薬としては、NOを放出して直接血管を拡張させるニトロプルシドや細動脈に直接作用し拡張させるヒドララジンがある。


④ 交感神経遮断薬
• α1アドレナリン受容体遮断薬にはプラゾシン・ブナゾシンがあり、抵抗血管を拡張させる。βアドレナリン受容体遮断薬にはプロプラノロール・ピンドロール・アテノロールがあり、心拍出量を減少・レニン分泌抑制などをもたらす。投薬中止によるリバウンドが起こることがある。また、α1とβ受容体遮断作用をもつラベタロールもある。中枢性α2アドレナリン受容体遮断薬にはクロニジン・αメチルドパがあり、交感神経活動を抑制し、末梢抵抗の低下と心拍出量を抑制をもたらす。他には、ノルアドレナリン遊離を抑制する神経伝達遮断薬のグアネチジンや、カテコラミンを枯渇させる神経伝達物質枯渇薬のレセルピンがある。

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