2013年11月23日土曜日

陸で溺れるようだ〜知られざる病・COPDとは〜

慢性気管支炎・肺気腫と呼ばれてきた疾患がCOPD (慢性閉塞性肺疾患)と名称が国際的に統一されたのは2001年のことでした。WHOの肝いりで発足したGOLD(Global Initiative for Obstructive Lung Disease)(通称ゴールド)委員会の活動は、GOLD日本委員会も発足し医療者だけでなく一般市民へのCOPDに対する啓発効果を著しく高めました。わが国では日本呼吸器学会がCOPD診断と治療のためのガイドライン第3版を発行(2009年)、日本医師会が「日本COPD対策推進会議」を発足させ(2010年)、厚生労働省が「健康日本21」にCOPDを加えることを決めました(2012年)。しかしCOPDという病気の知名度はいま一つです。1万人を対象にしたアンケート調査では、2009年には病名として知っていると回答した人は5.1%に過ぎませんでした。2011年、同じ調査では7.1%が知っていると答えています。少なくとも聞いたことがあるという人は12.6%から18.1%に増えていますが、残念ながら知られざる病気であることは変わりがありません。2001年、わが国の疫学調査では40歳以上の8.6%であり推定530万人と発表され医療者を驚かせました。同じ年にCOPDの患者調査では約20数万人と言われていたからです。名称が二転三転するなどして医療者ですら混乱しているところがありますがCOPDは今なお一般市民にはなじみの乏しい病気であることには変わりはありません。「陸で溺れるようだ」、「真綿でゆっくり首を絞められていくようだ」、COPDの患者さんの訴えは深刻です。近年の研究でCOPDは呼吸器の病気というより他の生活習慣病との共存状態が問題であるとされています。事実、COPDの患者さんの30%は虚血性心疾患で死亡しています。肺がんも多くみられています。

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